子どもに習い事をさせるべきか自由に過ごさせるべきか、多くの親が悩んでいます。習い事は子どもの成長に良い影響を与えますが、自由な時間を奪ってしまう側面も否定できません。この記事では、習い事をさせない子育ての理由やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
記事を読むと、子どもの習い事に関する新たな視点を得られます。自身の家庭に合った子育ての方法を見つける参考にしてください。
子育てで習い事をさせない理由
子育てで習い事をさせない理由は、以下のとおりです。
- 習い事に費やす時間がない
- 金銭的に余裕がない
- 親自身の経験で習い事が身についていない
- 子どもが興味を示さない
時間的な制約や経済的な理由、考え方など、さまざまな要因が絡み合っています。
習い事に費やす時間がない
多くの家庭では、共働き世帯や子どもの学校行事などによって、習い事に時間を割くのが難しいです。両親が19時に帰宅する家庭では、子どもの夕食や入浴、宿題の時間を考えると、平日の習い事は困難になります。
休日も家事や買い物、家族団らんの時間を大切にしたいと考える親が増えています。時間的な制約から、やむを得ず習い事を見送る家庭も多いです。家族のライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で子どもの成長を支援することが重要です。
金銭的に余裕がない
習い事にはさまざまな費用がかかります。家計の状況によっては、習い事の費用を捻出するのが難しい場合があります。習い事にかかる主な費用は以下のとおりです。
- 月謝(定期的な支払い)
- 入会金(初期費用)
- 教材費(教科書や道具代)
- 送迎にかかる交通費
- 発表会や試合の費用
ピアノ教室に通わせる場合、月謝が1万円、教材費が半年で5千円、発表会の衣装代が年1回で1万円ほどかかります。自宅での練習用にピアノやキーボードを購入する必要もあります。年間で考えると、出費は大きいです。複数の子どもがいる家庭では、負担が倍増します。
習い事の費用を他の必要経費に回すことで、家計のバランスを取ろうとする考え方は理解できます。子どもの将来のために貯金を優先する家庭もあることから、習い事が正しい選択とは言えません。
親自身の経験で習い事が身についていない
親自身の習い事のネガティブな経験が、子どもに習い事をさせない理由になる場合があります。習い事を無駄だと感じている親は、以下の経験をしている場合があります。
- 学んだことが現在役立っていないと感じている
- 続けられずに途中で挫折している
- ストレスや嫌な思い出ばかり思い出す
- 家族との時間が減り寂しい思いをした経験がある
- 親の期待に応えるために嫌々続けた経験がある
親の価値観は子育てに大きな影響を与えるため、自身の経験にもとづいて習い事をさせない選択は自然です。
子どもが興味を示さない
子ども自身が習い事に興味を示さない場合、親が無理に習わせるのは逆効果になります。子どもが習い事に興味を示さない主な理由は以下のとおりです。
- 他の活動に夢中になっている
- 友達と遊ぶ時間を大切にしている
- 新しい環境に不安を感じる
- 学校の勉強や部活で時間がない状態である
- 自由な時間を過ごしたいと思っている
スポーツよりも絵を描くことが好きな子どもに、無理やりサッカー教室に通わせても楽しめません。学校の友達と遊ぶ時間を大切にしたい子どもにとって、毎日のように習い事をすることはストレスになります。子どもの興味や関心は、個性や才能を示す重要な指標です。
親の期待や周囲の動向に流されず、子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。子どもの自主性を尊重し、興味のある分野を自由に探求させることで、より効果的な学びや成長が期待できます。
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習い事をさせない子育てのメリット
習い事をさせない子育てのメリットは以下のとおりです。
- 日々の生活にゆとりが生まれる
- 宿題や練習によるイライラがなくなる
- 親子の時間を大切にできる
- 家計の負担が減る
日々の生活にゆとりが生まれる
習い事をさせないことで、家族の生活に大きなゆとりが生まれます。平日の夕方に子どもがゆっくりと宿題を済ませ、家族で夕食を楽しむなどの時間ができます。休日には公園でピクニックをしたり、近所を散歩したりと、家族で過ごすことも可能です。長期休暇には旅行の計画も立てやすいです。
ゆとりは、子どもの心の安定にも良い影響を与えます。忙しい毎日ではなく、ゆったりとした日々があるからこそ成長できる場合も多いです。
宿題や練習によるイライラがなくなる
習い事をしていると、学校の宿題に加えて習い事の課題もこなさなければならず、子どもにとって大きな負担になります。ピアノを習っている子どもは、学校の宿題に加えて毎日の練習をしなければなりません。親が「練習しなさい」と声をかけ、子どもを渋々ピアノに向かわせることは、かえって悪影響です。
習い事をさせないことで、親は子どもに対して過度なプレッシャーをかける必要がなくなります。家庭内の雰囲気が良くなり、親子のコミュニケーションもスムーズになります。習い事をしないことで、自分のペースで学校の勉強に取り組めるメリットも大きいです。
親子の時間を大切にできる
習い事をさせないことで、親子で過ごす時間が豊かになります。子どもの成長にとって、親との時間は大切なものです。親子の絆を深め、子どもの心の安定にもつながります。習い事をしなければ、平日の夕方に親子で料理を楽しむことも可能です。子どもは包丁の使い方や食材の知識を学び、親は子どもの成長を間近で見守れます。
休日には家族で博物館や動物園に出かけ、ともに学んで感動を共有する機会も増えます。日々の触れ合いを通じて、子どもは多くのことを学ぶものです。生活習慣やマナー、コミュニケーション能力など、社会生活に必要なスキルは、家庭での親子の関わりの中で身に付きます。
家計の負担が減る
習い事をさせないことで、家計の負担が大きく軽減されます。習い事にかかる費用は決して安くありません。月謝や教材費、送迎の交通費など、さまざまな出費が発生します。習い事の費用を節約することで、家族の生活の質を向上させられます。月に1万円の習い事を辞めると、年間で12万円の節約が可能です。
家族旅行の費用に充てれば、素晴らしい思い出を作れます。子どもの将来の教育資金として貯金するのもおすすめです。節約した費用で子どもの興味に合わせた本や教材を購入する余裕もできます。図鑑や知育玩具など、子どもの好奇心を刺激するアイテムをそろえることで、家庭での学びも充実させられます。
習い事をさせない子育てのデメリット
習い事をさせない子育てのデメリットは以下のとおりです。
- ダラダラとした過ごし方が増える
- 経験や学びを得る機会が減る
- 人と交流する場が減る
ダラダラとした過ごし方が増える
習い事をしないと、子どもが時間を持て余してしまう可能性があります。休日や長期休暇中は、目的意識のない時間が増えがちです。テレビやゲームに没頭する時間が長くなる傾向があります。休日の朝から晩までテレビを見続けたり、スマホで延々とゲームを続けたりする子どもが増えています。
親が仕事で忙しい場合、子どもの過ごし方を把握しきれないことも多いです。生活リズムが乱れてしまうと、学校生活にも影響を及ぼします。夜更かしが続いて朝起きられない、宿題をする習慣が身に付かないなど、問題は多岐にわたります。習い事をしない場合は、子どもの時間の使い方に注意を払わなければなりません。
経験や学びを得る機会が減る
習い事は、家庭や学校では得られない貴重な経験や学びの機会を提供します。専門的な指導を受けられないことで、子どもの潜在的な才能や興味を見逃してしまう可能性が高いです。音楽教室に通っていれば、楽器の演奏技術だけでなく、音楽理論や表現力も身に付きます。
スポーツ教室では、体力向上はもちろん、チームワークや規律性も学べます。習い事を通じて得られるスキルは、将来の進路選択にも影響を与えるケースも多いです。習い事は子どもの視野を広げる役割も果たします。異なる年齢層や背景を持つ人々と交流することで、社会性やコミュニケーション能力が養われます。
習い事をしないことで、子どもの成長機会が限定されてしまう懸念は否定できません。
人と交流する場が減る
習い事は、学校以外で子どもが新しい友達を作る貴重な機会です。異なる学校や学年の子どもたちと出会い、交流することで、社会性やコミュニケーション能力が育まれます。習い事をしないことで、人間関係の幅が狭まる可能性が高いです。
サッカー教室では、チームプレーを通じて協調性や責任感を学びます。習字教室では、先生や他の生徒との礼儀作法を身に付けることが可能です。異年齢の子どもたちと触れ合うことで、年上の子から学んだり、年下の子の面倒を見たりする経験も得られます。
人との交流が減ることで、子どもの社会性やコミュニケーション能力の発達が遅れます。将来、学校や社会で円滑な人間関係を築くうえで、習い事での経験は大きな財産です。習い事をしない場合は、家庭や地域で意識的に交流の機会を設ける必要があります。
子どもに習い事をさせない場合の有意義な過ごし方
習い事をさせなくても、子どもの成長を促す方法は多くあります。家庭や地域の中で、子どもの興味や好奇心を刺激する活動を取り入れることが大切です。親子の絆を深めながら、子どもの可能性を広げる過ごし方を探りましょう。
» 子どものおすすめの習い事10選!選び方のコツも解説
習い事以外の体験をさせる
習い事をしなくても、子どもに多様な体験をさせることは可能です。家族で一緒に活動することで、親子の絆も深まります。子どもの興味や好奇心を引き出す体験は以下のとおりです。
- 自然公園でのハイキング
- 博物館や美術館の見学
- 地域のお祭りへの参加
- 家族でのキャンプ体験
- 動物園や水族館の訪問
さまざまな体験を通じて、子どもは自然や文化、社会について学べます。家族で共有する時間は、子どもの心の成長にとって大切な活動です。習い事では得られない、家族ならではの思い出づくりを楽しみましょう。
家庭でできる知育を取り入れる
家庭でできる知育活動は、子どもの成長を促す効果的な方法です。親子で一緒に取り組むことで、楽しみながら学べます。子どもの年齢や興味に合わせて、適切な知育活動を選びましょう。家庭でできる知育活動は以下のとおりです。
- 絵本の読み聞かせ
- パズルや積み木遊び
- 料理や菓子作り
- 家庭菜園
- 科学実験キットの活用
家庭での活動を通じて、子どもは言葉や数、自然科学などについて楽しく学べます。親子で一緒に取り組むことで、コミュニケーション能力も自然と身に付きます。家庭での知育は子どもの好奇心を刺激し、学ぶ楽しさを実感させる良い機会です。
» 幼児教育とは?メリットとデメリット、種類を解説!
子どものやりたいことをとことんやらせる
子どもが興味を持っていることを思う存分追求させることは、自主性や創造性を育むうえで重要です。親がお膳立てした習い事ではなく、子ども自身が選んだ活動に没頭することで深い学びが得られます。
子どもの興味に応じた活動例は以下のとおりです。
- お絵描き
- 昆虫採集
- プログラミング
- 絵本作成
- 天体観測
親の役割は子どもの興味を理解し、必要な道具や環境を整えることです。絵が好きな子には画材を用意し、昆虫が好きな子には図鑑を買い与えるなど、子どもの探究心をサポートしましょう。子どもの興味に寄り添うことで、自発的な学びが促進され、将来の可能性が広がります。
地域活動に参加する
地域活動への参加は、子どもの社会性を育む絶好の機会です。異なる年齢層の人々と交流することで、コミュニケーション能力や協調性が養われます。地域への愛着や貢献意識も芽生えます。
子どもが参加できる地域活動は以下のとおりです。
- 子ども会のイベント
- 地域の清掃活動
- 地元の祭りのお手伝い
- 公民館での文化活動
- 地域のスポーツ大会
地域活動を通じて、子どもは多様な価値観に触れ、社会の一員としての自覚を持ちます。親子で参加することで、家族の絆も深まります。地域とのつながりは、子どもの成長を支える大切な基盤です。積極的に地域活動に参加し、子どもの社会性を育みましょう。
まとめ
習い事をさせない子育ては、一概に悪いとは言えません。家庭の事情や子どもの性格に応じて、最適な選択をすることが大切です。習い事をしなくても、家庭や地域で子どもの成長を促す方法は多くあります。子どもの興味や好奇心を大切にし、親子で成長の喜びを分かち合いましょう。
大切なのは、子どもの個性を尊重し、自主性を育む環境を整えることです。